映像や音声などの大容量データを、迅速に配信できるようになりました。
通信カラオケも、それを利用したものになるのは当然の成り行きでした。
レーザーカラオケのメリットだった、「人間の演奏家が演奏した音」と「その曲に合わせて製作された映像」を、ブロードバンドなら配信できるようになったのです。
ブロードバンド通信カラオケは、従来の通信カラオケの「MIDI演奏+映像ライブラリ」に加えて、ブロードバンド回線で配信された「生音演奏」の音と「その曲だけ」の映像を、客からのリクエストに応じて再生することができます。
「生音演奏」は、MIDI演奏では再現できない音のクオリティを持っています。コーラスなどもちゃんと肉声で入ります。
そして「その曲だけ」の映像には、たとえばプロモーションビデオやライブなどの「本人映像」、そしてアニソンでは実際のそのアニメの映像などがあります。
その曲の制作者が作った、その曲に対する「公式な映像」です。
カラオケ機器が「テキトーに」選んだトンチンカンな映像とは比べものにはなりません。
つまり、ブロードバンドに対応することにより、音や映像の質において、通信カラオケはようやくレーザーカラオケに追いついたと言えます。
さらに、サーバから機器に送られる映像だけではなく、機器の側からサーバに採点結果や歌唱の音声データなどを送ることにより、たとえば「ランバト」や「うたスキ」などのような新しい付加価値を持ったサービスが可能になったことも見逃せません。
ただ、「生音演奏」にしても、「その曲だけ」の映像にしても、制作には1本ごとに金も時間もかかることになります。
その欠点もまた、レーザーカラオケと同じです。
特にプロモーションビデオやアニメの映像は、1本ごとに金をかけて権利をクリアしていかないといけません。
権利者が許可してくれないと、どんなに金を積んでもダメです。
ですから、ブロードバンド通信カラオケといえども、収録された約10万曲のすべてを「本人映像」や「生音」などにするわけにはいきません。
約10万曲のうちの、せいぜい何百曲か何千曲かという程度です。
カラオケメーカーにはそこまでの金も時間もありません。
そして、「本人映像」や「生音」などではない他のすべての曲は、結局は従来の通信カラオケと同じ。
安く早く制作できて曲数が多いかわりに、音はショボく、映像はとんちんかん。
つまり、レーザーカラオケと従来の通信カラオケの良い所取りではなく、両者の良いところも悪いところも併せ持つのが、ブロードバンド通信カラオケの現状です。
ただ、「本人映像」や「生音」などを少しでも多くし、その中でもより魅力的なコンテンツを揃えることが、
カラオケメーカーにとって明確な勝負どころになったことは間違いありません。
これからしばらくのカラオケは、画期的な新機能や大きなハードウェアの進歩などは無いはず。
そのかわり、たとえば映像コンテンツの争奪戦などはますます激しくなるはずです。

